「で、ミカちゃんたちのチームはどうだった? 火薬委員会見てきたんでしょ?」
 ユキが声をかける。
「トーゼンよ。もう報告書だって書いちゃったもんね」
 ミカが冊子を手にして見せる。
「どれどれ、見せて…」
 冊子を受け取って眼を通し始めたユキだったが、みるみる表情が険しくなる。
「ちょっとミカちゃん…なにこれ」
「なにこれって、報告書だけど」
 きょとんとした顔でミカたちが答える。
「これのどこが火薬委員会の監査報告書なのよ!」
「ユキちゃん、なにコーフンしてるんでしゅか?」
「そうよ」
 言いながらおシゲとトモミが冊子を覗き込む。と、2人の表情も固まる。
「ちょっと…なんでしゅかこれ」
「これ、監査報告書じゃなくてインタビューじゃない、土井先生の」
 おシゲとトモミが呆れたように声を上げる。
「だって…監査のときに土井先生が立ち会われたんだもの」
「そうそう! 『兵助はまだ委員長代理だからきちんとした対応は難しいだろう。だから私も立ち会う』って! カッコいいわよねぇ」
 ミカと恵々子が頬に手を当てながらうっとりと顔を見合わせる。
「で、それがなんでインタビュー記録になったってわけ?」
 腰に手を当てたトモミがきつい声で訊く。
「だって…土井先生はいつも男子生徒の側に居るから、あんなに近くでお話をすることなんてできないし…」
「で、こんな内容になったってわけ? なによこれ。『休みの日は何をしてますか』『ラッキーカラーとラッキーアイテムを教えてください』『初恋の人は誰ですか』『初めて異性と手をつないだのは何歳のときですか』『初キッスはいつですか』『どんなタイプが好きですか』『いま好きな人はいますか』って、火薬委員会の監査と何の関係もないじゃない」
 引き続きトモミが詰問する。
「でも、火薬委員会なんてそもそも煙硝蔵の火薬の管理しかしてないし、予算なんてほとんどないんだから、監査することなんてないじゃない」
 恵々子が言い訳を試みる。
「ところで、亜子ちゃんと猪々子ちゃんがいないけど、どうしたんでしゅか?」
 同じく火薬委員会の監査チームにいたはずのメンバーが見当たらないことにおシゲが気付く。
「ああ、あの2人は…」
 白けたようにミカが言う。「斉藤タカ丸さんに髪結ってもらって、見せびらかすんだって街にでかけちゃったわ」
「どーしてそーなるのよっ!!」
 トモミが怒りを爆発させる傍らで報告書に眼を落としていたユキがぽつりと訊く。
「…で、土井先生の初キッスの相手、なんで答えが書いてないの?」
「え…ちょっとユキちゃん、なに訊いてるのよ…!」
 思いがけない台詞に毒気を抜かれたトモミが脱力する。
「そう、そこなのよ!」
「ちょっとユキちゃん、聞いてよ!」
 ここぞとばかりにミカと恵々子が身を乗り出す。
「どうしたんでしゅか?」
 おシゲも興味深げに話に加わる。
「それがね…土井先生が恥ずかしがっちゃってて(恥ずかしがる土井先生もカワイイのよね…キャ☆)それでもようやく聞き出せそうになったときに、池田三郎次と二郭伊助が『そんなこと火薬委員会と関係ない』とか口を出してきたせいで、うやむやに逃げられちゃったの!」
「ホント、あの2人がいなけりゃ土井先生の初キッスと初恋の相手といまリア充かも訊けたのに…」
 ミカと恵々子が口々に言う。
「それはだめよ!」
 ユキが力を込めて言う。「改善状況報告にその質問の回答をしない限り、火薬委員会は何度でも再監査しないといけないわね。それも報告書に書いておきましょ」
「ユキちゃん…それ本気?」
 トモミが呆然と呟く。
「もちろん! ほら、ミカちゃんたち指摘事項を報告書に書いてないじゃない。だからそれを書くの」
 言いながら報告書の余白に指摘事項を書き加える。
『火薬委員会指摘事項
一、顧問の土井先生は当日回答できなかった監査員の質問事項すべてに、正直に書面で回答すること。』



「でもでも、作法委員会と体育委員会の監査はちゃんとやって来たわよ」
「そうそう! ほら、私たちの苦心作を見てよ!」
 ミカと恵々子が報告書を文机に置きながら言う。
「どれどれ…」
 ユキ、トモミが報告書を開く。
「へえ…『作法委員会は必要以上に生首フィギュアを保有している』って、これいい視点じゃない? 生首フィギュアなんて授業でもそんなに使わないし、あんなのたくさんあったらキモチワルイし」
「ちょっと待って。続きに書いてある『毛が伸びるフィギュアの必要性を検討すべし』って、これホントなの?」
 傍らから報告書を覗き込んでいたソウコが気味悪そうに声を震わせる。
「そうなんだって。斉藤タカ丸さんがいくら髪結いの練習台に使っても、すぐに伸びてくるから便利だって喜んでるんだって」
「いやでもそれって…ヤバくない?」
「そうそう。それヤバいわよ。『必要性を検討』じゃなくて『即刻廃棄』って書いた方がいいわよ」
「そぉお? みんながそう言うなら、まあ、書き換えてもいいけど」
 あまり興味なさそうに恵々子が言う。



「それから体育委員会ね…て、これだけ?」
 報告書に眼を通していたトモミが意外そうに顔を上げる。
「ええ。そんだけ」
 ミカが肩をすくめる。
「だって、体育委員会って、体育の授業に使う備品を管理してるんじゃなかったの? けっこう予算も使ってるはずなのに、指摘が『もっと効率的に予算を使うように』だけって、ちょっと雑駁すぎない?」
「だって…予算はほとんどついてないんだもの。チェックしようがないわ」 
「でも、少しはついていたんでしょ? 何に使っていたの?」
 トモミの追及は続く。恵々子が応える。
「それがね…布とか糸とか」
「「は!?」」
 ユキたちが思わず頓狂な声を上げる。
「なにそれ。体育委員がお裁縫でもするっていうの?」
「冗談でしょ?」
「用途はもちろん聞いたんでしょうね」
「ええもちろん聞いたわよ」
 一斉に放たれる質問にいささかうんざりした口調で恵々子が言う。
「で、なんだったの?」
「七松先輩のパペットとギニョールの材料だって」
 ふたたびミカが肩をすくめる。
「はあ? なにそれ!」
「考えられない!」
「でも、たしかに作ってたのよ。ほら、学園祭の体育委員会の屋台で売ってたの、おぼえてない?」
 ミカの説明にソウコがぽんと手を打つ。
「あ、思いだした…たしかに、体育委員会にしてはうまく作ったもんだって思ったのよね」
「でも、体育委員会の予算って、それだけなの?」
 顎に手を当てたトモミがなおも訊く。「備品を買ったり直したりとかはしないの?」
「そっちの予算はぜんぶ切られたんですって」
 ミカが大仰にため息をつく。体育委員会で唯一予算についてまともに説明できる滝夜叉丸から説明を受けたときの驚きが蘇ったようである。
「どういうこと?」
「体育委員会の委員長の七松先輩はクソ力でしょっちゅうバレーボール破裂させたりしてるから、予算会議で備品の予算を全額カットされちゃってるんですって。だからそっちの予算はゼロ。辛うじて認めてもらった予備費で買ったのが布と糸ってわけ」
「てことは、学園祭で売ったパペットとギニョールの売り上げはどうしたの?」
「その売り上げで七松先輩がこわした備品を弁償したんですって。だから予算を効率的に使えって指摘にしたってわけ。予算使ってパペットとギニョール作るくらいなら、最初からきちんと予算を取って必要な備品をそろえた方が効率的でしょ?」
 恵々子の台詞に皆が頷く。
「さて、これで全委員会の監査結果がそろったかしら…」
 言いながらユキが報告書をチェックする。と、その眉がしかめられる。「ねえ、まだ監査が終わっていない委員会があるわ」
「え? どの委員会?」
 トモミが訊く。
「用具委員会と学級委員長委員会」
「それじゃ、分担して監査しましょ」
「あの…」
 おシゲがためらうように声を上げる。
「どうしたの、おシゲちゃん」
 ユキが訊く。
「それなら…私、用具委員会をみましゅ」
「そう。それなら、ミカちゃんたちは学級委員長委員会を監査してね…その前に!」
 腰に手を当てたトモミが凄む。「今すぐ亜子ちゃんと猪々子ちゃんを連れ戻してきてよね!」
  


「こ、こちらがヨ、ヨーグイーンカイのチョーボでありますっ!」
 すっかり固くなった作兵衛が帳簿を捧げ持ったまま絞り出すように叫ぶ。おシゲがあの地獄の会計委員会の鬼委員長を完膚なきまでに屈服させたことは学園中に知れ渡っていた。よりによってそのおシゲが率いる監査チームを迎えるとあって、用具委員会のメンバーの緊張は極限に達していた。
「それでは、用具委員会の監査をはじめます」
 ユキが口を開くと同時にずらりと控えた留三郎以下が身を引き締める。と、そこにぱたぱたと軽い足音が響く。
「しんべヱ様~~~~!」
「おシゲちゃ~~~~ん!」
 ユキたちより少し遅れて現れたおシゲの声に、立ちあがったしんべヱが駆け寄って手を取り合う。
「あ、しんべヱ様、またお鼻が…チ~ンして差し上げましゅ」
「うん、おねがい」
「はい、チ~ン」
 懐から出した手巾でおシゲがしんべヱの鼻をかんでやる。
「ありがと、おシゲちゃん。すっきりした!」
「どういたしまして…うふっ☆」
 むせ返るような甘い空気を撒き散らす2人に、取り残された全員が呆然と立ち尽くす。
「な、なあ…なんなんだあれ」
 呆然と突っ立っている作兵衛に、守一郎がこそこそと訊く。
「ああ。あれはしんべヱのお友だちで、くの一教室のおシゲちゃんで~す」
 喜三太がにこやかに説明する。
「だけど…人目ってもんがあんだろうよ」
 作兵衛がうめくように呟く。「どこまでオープンなんだ、あいつら」
「おシゲって…会計委員会の監査で文次郎を再起不能にしたヤツだよな…」
 留三郎も当惑げに声を上げる。
「そうなんですけど…しんべヱとは仲がいいので…」
 平太が震え声で説明する。

「あ、あの…おシゲちゃん?」
 いちゃつく2人に耐えかねたユキが声をかける。「そろそろ監査をはじめない?」
 会計委員会を相手にあれだけ強面で出たおシゲが、いつまでもしんべヱの側を離れようとしない。
「でも、おシゲ、しんべヱ様のお側にもっといたいでしゅ」
「ぼくも、もっとおシゲちゃんといっしょにいたい!」
 調子よくにっこりしながらしんべヱが言う。
「うれしい! しんべヱ様…」
 おシゲが頬を染めながらしんべヱに寄り添う。
 -もしかして、おシゲちゃんが用具委員会の監査をするって言いだしたのは、しんべヱがいるから?
 当惑の表情を浮かべながらユキたちが顔を見合わせる。会計委員会をノックアウトさせたおシゲなら、多くの備品を扱い、修補を手掛ける用具委員会で指摘事項を見つけるなど簡単なことだろうと期待していたのだが、そもそもおシゲは用具委員会での監査をやる気がないようである。
 -しょうがないわね。私たちだけで帳簿を見るしかなさそうね。
 -そうね。この際おシゲちゃんはほっとくしかないわね。
 顔を見合わせたユキたちが肩をすくめる。



「…君たち、学級委員長委員会には予算はついてないことは分かっていて来てるのかい?」
 委員会室の襖に寄りかかって腕を組んだ三郎が半眼になる。
「当然です」
 ウエーブした髪をかき上げながら恵々子がすまし顔で言う。
「ほう、それじゃ何を見るというのかな」
 勘右衛門の口調も挑戦的である。
「監査は委員会の活動内容そのものを検証します。予算をチェックする会計委員会と違いますので」
 ミカが腰に手を当ててにやりとする。委員会室前でのやりとりはのっけから嵐の予感が立ち込めている。
 -どうしよう、庄左ヱ門。先輩たち、けっこう怒ってない?
 -そ、そうだね…ここはひとまず見守るしか…。
 三郎たちの背後で庄左ヱ門と彦四郎がこそこそと声を交わす。
「というわけで、これより学級委員長委員会の監査を行います。部屋に入れてください」
 一歩前に進み出た恵々子が居丈高に声を上げる。
「それは失礼しました。ささどうぞ」
 棒読みで三郎が襖を開ける。そして刺々しく付け加える。「なんなりとご覧ください。見るものがあるというならね」
「それでは」
 文机の前に座った恵々子が言う。「まず委員会の活動日誌を見せてください」
「そのようなものは存在しませ~ん」
 ついと顎を上げた勘右衛門が即答する。
「どういうことですか?」
 恵々子が眼を細める。
「われわれ学級委員長委員会は、それぞれが自分のクラスで学級委員長として活動したことがそのまま委員会としての活動になるので、委員会として日誌をつける必要はない」
「そういうことなんで、あしからず」
 澄まして応える勘右衛門に三郎が語を継ぐ。
「それでは学級委員長委員会が何をやっているか検証できませんね」
 亜子がため息をつくと勘右衛門を見据える。
「ならどうする?」
 壁に寄りかかって腕を組んだ三郎がからかうように軽く首をかしげる。
「やることをやってないって指摘するだけですが何か?」
 負けずにミカが言い返すと、おもむろに懐から取り出した紙片を広げる。「もともと学級委員長委員会の実態は聞いていたので、もう指摘は書いてきちゃってます」
「へえ。何も見ないうちからケチをつけられるとは大したもんだね」
 腕を組んだまま三郎は肩をすくめるが、内心の動揺を隠すのに苦労していた。
「では発表させていただきます」
 こほんと咳払いしたミカが紙片を読み上げる。
「『学級委員長委員会指摘事項
一、委員会は各クラスのリーダーとしての立場を生かし、風紀活動や生活改善運動などの学園全体に波及する活動を検討すること。』
あとこれは意見だけど、顧問の学園長先生向けに、『学級委員長委員会の業務が個々のクラス運営だけであるならば、あえて委員会の形態をとる必要性について再検討すべき。』…こんなところかしら」
「ちょっと待った! そんな指摘が通ると思ってるのか?」
 三郎が尖った声を上げる。
「監査は業務を見るものと申し上げたはずです」
 恵々子が冷たい声で言う。
「というわけで学級委員長委員会の監査を終わります。ご協力ありがとうございました」
 平たい声で言い捨てたミカが、呆然と立ち尽くす三郎と勘右衛門にちらと眼をやるとぴしゃりと襖を閉じた。
「…作戦負けだね」
 黙って見ていた庄左ヱ門がぽつりと言う。傍らの彦四郎が思わずその横顔に言う。
「庄左ヱ門って…おそろしいくらい冷静だね」



「それではこれから職員会議を始めます…が!」
 半助が言葉を切る。大川の庵に教師全員がずらりと居並んだ職員会議は、教師たちの発する殺気ですでに右不穏な空気が充満している。
「その前に学園長先生に伺いたいことがあります」
「うむ、なんじゃ」
 腕を組んだ大川が鷹揚を装って訊く。
「今回、各委員会に入った監査の件についてお聞きしたい。こういうことは各委員会の予算に責任を持つ会計委員会の顧問である私にまず相談があってしかるべきと考えますが」
 安藤が続けて声を上げる。
「今回の監査は、各委員会の活動状況を把握するために行ったものじゃ。従って予算・決算とは別の視点で監査するようにしておる」
「そもそも監査とは、第三者により行うものと聞いています。なぜ学園の一部であるくノ一教室に監査させたのですか」
「たしかに山田先生の言うように、監査とは本来第三者によって行うべきものじゃ。だが、完全な第三者に学園の内情を知られるようなことはできん。だから、各委員会から独立したくノ一教室に監査させたのじゃ」
 ここまでは想定の範囲内の質問である。
「それでは…」
 司会役のはずの半助が声を震わせる。「火薬委員会の監査でなぜ私のプライベートを根掘り葉掘り聞かれなければならないのですか。それも書面で回答せよなどと…!」
「そ、それはの…」
 痛いところを衝かれて大川が言いよどむ。
「不運をなんとかしろとのことでしたが、こう指摘したからには具体的な取り組みの見通しがあってのことなのでしょうな」
 普段は温厚な新野も怒りを抑えきれないようである。
「い、いや、それはじゃな…まあ、ちょっとがんばれっていうことじゃ。ははは…」
 笑いに紛らわそうとしたが逆効果だった。
「どのように改善しようがあるのかと聞いているのです! それとも善法寺君たち現在の委員会メンバーが卒業するまで活動停止しろとでも仰るつもりなんですかっ!」
 ばん、と新野の拳が畳に打ち付けられると同時に教師たちが一斉に声を上げた。
「フィギュアがいくつあろうと無駄だと指摘されるいわれはない!」
「あんな改善不能な指摘があるか!」
「字が汚いのは委員会のせいじゃないですぞ!」 
(ほ、本を返さないのは学園長の責任です…)
「まあまあ、先生方も落ち着いて…土井先生、司会を」
 拳を突き上げて抗議する教師たちをなだめた伝蔵が、半助を促す。
「そ、そうでした…監査については非常に迷惑な思い付きでしたが、今後二度とやらないということであればそれでよしとしましょう…ですが!」
 ふたたび半助の口調が昂る。「改善事項報告についての報告義務をなしにすることが条件ですが」
「わ、わかったわかった…だから先生方もそう怒らんで…」
「ちょっと待ってください」
 慌てふためいて口角泡を飛ばしている大川を、それまで黙っていた山本シナが遮った。
「私たちくノ一教室は、学園長先生の迷惑な思い付きにもかかわらず、ご指示とあらば仕方なく授業を中断し、監査マニュアルを読み込み、必要な準備をして監査に臨んだのです。そしてご指示に従って監査を行い、指摘事項を報告書としてまとめて提出しました。学園長先生は…」
 シナの声が怒りで震える。「そんなくノ一教室の努力をなかったことにすると仰るのですか!?」
「そ、そうじゃなくてだな…」
「ではどうだと?」
「まさか監査をあったことにするとでも!?」
「ええい、うるさいっ!」
 立ち上がった大川が煙玉を投げつけて姿を消す。
「逃げたぞ!」
「そうはさせませんぞ!」
「探せ探せっ!」
 すでにこうなることを予期していた教師たちが一斉に庵の周囲や天井、床下を探し始める。



「で、結局、私たちのやった監査はどうなるわけ?」
 庵に面した庭石に腰を下ろしたユキが誰にともなく訊く。
「なかったことになるんじゃないの?」
 石に寄りかかって腕を組んだ亜子が言う。
「じゃ、改善事項報告もなしってわけ?」

 ユキの隣で足を組んでいたトモミが首をかしげる。
「ま、そういうことね。残念だわ…」
 肩をすくめたユキが天を仰ぐ。「土井先生の初キッスと好きなタイプ、聞きたかったんだけどなぁ」


<FIN>



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